「国民総セックスレス時代」が叫ばれる現代の日本。誰もが性欲と気力を失いつつあります。そこでトイズマガジン編集部は「性欲アップ講座」を開設。毎回、性のプロフェッショナルをお迎えしてお話を伺っています。
今回、ご教授いただくのは、「自立支援センター むく」の理事長である木村利信さん。第2回では、木村さんがなぜ福祉の立場から性に関わることになったのかお聞かせいただきました。

――続いてお聞きしたいのが、コンテンツ制作についてなのですが、現在かなりの枚数のDVDを制作・販売されてますよね。

自立支援センター むく 理事長・木村利信(以下、木村):私自身、アダルトグッズがあっても映像がないとダメなタイプなので(笑)。コンテンツ制作にはかなり力を入れています。今はR-15作品とR-18作品が混在している状態ですね。

――内容としてはだいぶフェチ寄りですよね。特に足モノが……。

木村:まあ、その辺は私の趣味もあるんですが(笑)、基本的にはセックス描写はなく、オールジャンルの即売会でも置けるような作品が多いです。

――「無店舗型性風俗特殊営業」「映像送信型性風俗特殊営業」も届け出てるんですね。

木村:「映像送信型性風俗特殊営業」はAVメーカーさんに言われて、「無店舗型性風俗特殊営業」はTENGAさんと契約する際に必須条件だったため取得しました。

――さすがにこういうところも徹底してるんですね。

木村:ただ、どこの行政書士に聞いても「わかりません」の一点張りで取得には苦労したんですよ。仕方がないんでネットで調べて、アダルトの仕事を専門的に行っている行政書士にお願いしました。それでも、福祉施設なのにアダルト事業をしようとしているという点になかなか理解が得られず、それをさらに警察に説明するのも大変でした。

――確かに、まさか福祉とアダルトを兼業する人間が現れるなんて、思いもよらないでしょうね。周囲に理解してもらうのも大変だったんじゃないですか?

木村:そうですね。ただ、こうした活動をしていく中で、さまざまなイベントに呼んでいただけるようになったことは大きな出来事でした。

――なるほど。イベント関連から、受け皿ができあがり始めたわけですね。

木村:アダルト系のイベントに出たのは、今年の1月が最初です。大阪で行われた「アダルトVRエキスポ」だったはず。

――それ、私も取材行きましたよ! すいません、たぶんその時はご挨拶してなかった気がします……。

木村:実はまだ、その当時はVRの開発に至っていなかったのと動画の制御もできていなかったので、「視点入力センサー」でPC上の写真を目で追うシステムと、TENGAさんの見本を置いていたのでかなり小規模だったんです。

――言われてみると、そのブース見た覚えが……。うん、確かに「ここ、VR置いてない!」って思ってました(笑)。

木村:まだその時は、VRをどう扱っていいのかがわからなかったんですよ。ただ、その時にいろいろなメーカーさんやAVRSの方々とも知り合うきっかけになったので出て良かったと思ってます。

――VRを展示できなくとも「アダルトVRエキスポ」に行っただけの甲斐はあったということですね。

木村:ただ、大阪に行ったことでちょっと厄介なことになったのが、当時のアシスタントとの決別ですね。現在は新しい秘書が頑張ってくれてますが、うちは映像制作会社ではないので、プロの女優やモデルを使えないんですよ。それで、コンテンツには私の秘書の女性に出演してもらっていて……。

――えっ!? ちょっと待ってください。あのフェティッシュなDVDに出演されている女性って……MUKUのスタッフさん!?

木村:そうなんですよ。だから、秘書にNGを出されると、もう作品が作れなくなってしまうんです。

――それ、衝撃的なんですけど……。え〜、本当にMUKUで働いている方が出てるんですね……。

木村:モザイクがかかるような作品は作っていませんが、それでもバイブや電マなんかはガンガン出てきますし、撮っている最中に警察を呼ばれそうになったこともあります。AVメーカーさんから「MUKUさん凄いね。よく福祉でここまでやるね」なんて言われたくらいですよ(笑)。

――何というか、その方の根性に頭が下がる思いです。話を戻しますが、イベントへの参入については、やはり活動に関する周知が目的ですか?

木村:まずは、福祉施設がこうした活動を行っていることを広く知ってもらいたいんですよ。福祉だからってキレイなことや社会保障のことばかりではない、本当に色んな事が出来るんだよって思ってもらいたいんです。とにかく知ってもらわないと広がりませんからね。

――「アダルトVRエキスポ」の後に「フェチフェス10」にも出られてますよね。

木村:はい。5月のGWには「AVRS」にも出てますし、その後は全年齢対象の秋葉原のイベントにも出展しました。先日は「けもピタ」というけものフレンズ関連の即売会にも出てます。12月もいくつか予定がありますね。年末には「コスホリック」にも出る予定ですよ。

――本当にさまざまなイベントに出展されているんですね。

木村:すべて啓蒙活動ですね。皆さん「福祉がこんなことを……!?」と驚かれますが、その分だけ印象には残りやすいみたいです。当初は名前を伏せての出展を考えてましたが、逆にそれだと軒並み落ちてしまって(笑)。きちんとバックグラウンドを説明し始めてからはウェルカムになりましたね。

――申し込みを見てホームページにアクセスしたらビックリでしょうね(笑)。本当に、まごうことなき福祉施設のホームページで。

木村:主催者の方たちが「本当にやってるのか見てみたい」って、興味を示してくれるんですよ。で、実際に売ってるものを見て仰天されます(笑)。

――イベントをきっかけに交流が深まったメーカーさんって、具体的にはどこがありますか?

木村:秋葉原のラブメルシーさんですね。広報の方から取引しないかと提案があり、うちの作品を販売してもらうことになりました。

――ええっ! もうそんな具体的な話に!?

木村:ただ、映像は当たり前すぎて売るのが難しいと言われてしまい、別の商品を置いてもらうことになったんですよ。

――「自立支援センター むく」の生み出したアダルトグッズとは!?

次回は、秘書・こまちさんにもお話を伺います!

NPO法人 自立支援センター むく

2000年に設立された障がい者の支援活動を行っているNPO法人。2016年より、障がい者への性に関する支援に本格的に着手。最新のテクノロジーと性を融合し、コンテンツの制作やテクノロジーの開発、 VR関係のシステムの開発も行なっている。