「国民総セックスレス時代」が叫ばれる現代の日本では、誰もかれもが失っている性欲と気力。そこでトイズマガジン編集部が開設したのは、性のプロフェッショナルを迎えてお話を伺う「性欲アップ講座」。
今回、ご教授いただくのは、「自立支援センター むく」の理事長である木村利信さん。第3回では、ラブメルシーで販売されている「むく」オリジナル商品と、そのカギを握る秘書のこまちさんの謎に迫ります!

――ラブメルシーで売られているのが、こちらの缶ですか? パンスト……? 唾液……?

自立支援センター むく 理事長・木村利信(以下、木村):これは実際にモデルが使用したパンストや、彼女の唾液などを缶にパッキングしたものなんです。

――これまた映像に負けず劣らずのフェティッシュな代物ですね!

木村:成分表なんかも乗せているところが、フェチ心をくすぐっているようです。置いていただけることは本当に有難いですね。

――知名度を高めるという点においてもかなり有効ですよね。もしラブメルシーに「福祉施設の作ったアダルト商品」なんてPOPがあったた私も「おっ!」て思いますもん。

木村:それと同時に、ラブメルシーさんの方からもバイブやホールなどのアダルトグッズを卸してもらえるようになったことが大いなる利点となっています。

――相互の協力が為されてる!

木村:どうやらラブメルシーさんも以前から福祉の方に興味はあったらしいんですよ。ただ、NPO法人にどうアプローチしていいかわからなくて動けてなかったみたいです。

――確かに、いきなり電話かけて「アダルトグッズの〜」なんて言われたら、普通の福祉施設はパニックになりますよね(笑)。

木村:そこにガチガチの福祉であるうちが飛び込んできたんで、渡りに船だったようです。うちとしても、これまで経費で落とすのが難しかったアダルトグッズの購入がスムーズになったこともあって、本当に助かってるんですよ。

――パンスト缶や唾液缶の売れ行きはいかがですか?

木村:イベントでも大好評で、生産が追い付いていないのが現状です(笑)。ラブメルシーさんの方では、コーナーも作っていただいて、DVD・缶詰の全作品の販売が開始されました。パンスト缶は、本当にモデルが半日くらいは履いたパンストを詰めているので、あまり量産ができないんですよ。

――パッケージングにもそれなりに時間はかかるでしょうしね……。そういえば、「むく」には現在どれくらいのスタッフがいらっしゃるんですか?

木村:140人くらいです。

――そんなに!? 想像してたより規模が大きい! それじゃ、人手はある状態なんですね。

木村:いやいや。140人が全員、この事業をよく思っているとは限りませんから。手伝ってくれる職員はかなり少ないです。

――そういえば、映像作品やパンスト缶のモデルさんって、現職の秘書さんなんですよね……?

木村:そうです。第2回でチラッと話に出てきた前の秘書が、こういうモデル的なこともOKしてくれてたんですが、辞めてしまって5ヵ月前に来たのが現在の秘書のこまちです。

――これはちょっと、直接こまちさんにお聞きしたいんですが……。こまちさんは、最初からこういうアダルトな仕事があることを知って応募してきたんですか?

秘書・こまちさん(以下、こまち):はい。わかってましたよ。

――モデルの話を聞いて、悩まれました?

こまち:えっ、全然。前職を辞める前から休みの日にちょこちょこ仕事の様子は見させてもらってましたし。本当の福祉施設であり、性に関する支援も行っていくことも了承していました。

――肝が据わってますね……。

こまち:でも周囲はやっぱり「騙されてる」って未だに言ってきますよ。親からも「愛人なんじゃないの?」なんて聞かれたり(笑)。いい話には裏があるって思いたいんじゃないですかね。

――こまちさんは、木村さんのしていきたいことに対して理解はされてるんですか?

こまち:もちろん。私は、昔から福祉に対してあまり良いイメージがなかったんですよ。暗くてつまんないって勝手に思ってて……絶対関わりたくないと思っていたジャンルだったんです。

――衝撃の告白!

こまち:まあ、今も実際そう思ってるんですけど(笑)。面接の時に木村さんの秘書としての業務と映像と言われたので、これは自分のしてみたいことができるぞ、と。

――もしかして、もともとアダルト系のモデルに興味があった……?

こまち:まあ、そんな感じですかね。私は今25歳なんですけど、映像に出たり、秘書として人前に出たり……表に出る仕事をするなら、年齢的にも最後のチャンスじゃないかなって。面白いことをしてみたいっていう気持ちに従順になってみたってことです。

――なんというか、なるべくして秘書になったといった感じが言葉の端々に現れていますね。どうですか、木村さんから見たこまちさんの働きぶりは。

木村:よくやってくれてますよ。これまでの秘書は、どの女性もバリバリの福祉専門職出身の方ばかりだったんですよ。それだと、やはりどこかで「福祉はこうあるべき」という固定観念が存在している。その殻を破れないというのはありましてね。

――ああ、その点こまちさんはアンチ福祉ですもんね(笑)。

木村:本当は秘書には福祉施設だろうがAVメーカーだろうが家電メーカーだろうが、産業のひとつとして捉えて欲しいんですよね。完全なボランティアでない限りは、そこにお金のやりとりが存在する以上は、産業と解釈してるんです。福祉の人たち全般に言えることですが、これがなかなか理解されないところなんです。

――最終回は、「自立支援センター むく」の今後の展望についてお話していただきます。

NPO法人 自立支援センター むく

2000年に設立された障がい者の支援活動を行っているNPO法人。2016年より、障がい者への性に関する支援に本格的に着手。最新のテクノロジーと性を融合し、コンテンツの制作やテクノロジーの開発、 VR関係のシステムの開発も行なっている。