ヰタ・セクスアリス (新潮文庫)

エロいことへの興味が、幼い頃から強かった。
幼稚園で床オナ、小学生時代に挿入有りの自作エロ漫画を描いて親バレするなど様々な黒歴史を量産してきた。そんなことがあったので、親は私にちょっとエッチな少女漫画の所持を禁じ、テレビでキスシーンが出て来たら「これはダメだ」とチャンネルを替え、成人後「婚前交渉禁止」なんて言っていた時もあった。

いつまで経っても「思春期の中学生」

抑圧は、人をよりいっそう、その抑圧したいものの方向に向かわせる。大学生になってより自由に行動できるようになると、家では下ネタなど一切触れないものの、渦巻く痴的好奇心を上野のラブドールのショールームや渋谷のバイブバー、SODの入社説明会、AV撮影の同行などに向けた。しかし、私は性欲をとにかく解消したいというタイプではなく、ハプニングバーに入り浸ったり、暇な女子大生(@bored_jd)さんのようにヤリマンの神になるというような方向性は、違うと感じていた。ただひたすら、小・中学生の時に多くの人が抱くエロいものへの好奇心が、いつまで経っても収まらなかった。
エロ界隈で得た知識は非常に面白く、人に話したくてウズウズした。しかし、話題が話題である。なりふり構わず話していると引かれる。自分から性的な話を持ってくる女というのも、世間的にはあまり好ましくない。言いたいのに言えない、というフラストレーションが溜まっていった。

応募をはじめる

私は昔から思いを言葉にするのが苦手だなと感じていて、文章にしたほうがずっと自分の思いを乗せられた。学生時代の読書感想文などは、無口な自分の思いを表現する絶好のチャンスで、とても楽しみにしていた。そこで、自分がよく目にするエロ系媒体のライターをするのはどうだろうか? と思い、シンプルに「アダルト ライター 募集」とググって複数応募してみた。しかし、まったく返事が来ない。それもそのはず、応募方法は「バイブバー行ったり、ラブドール展示会行ったりしました、そういうネタが書けると思います」などといった自己PRのみで、サンプル記事もつけていなかった。あるときは、応募した会社の編集長から電話がかかってきて、「突撃系は〇〇(媒体)、オモチャレビューは〇〇さん、ナントカのジャンルは〇〇(媒体)でやられており、君の考えている企画はすべて世の中で出きってしまっていて、目新しいものがないし難しいよ、ライターをやっていくのは」と電話を頂いたことがあった。その方が語るエロの世界は非常に広くて深くて興味深く、自分の無知さを思い知った。

そんなとき、「エロとは真面目さの中にこそある」ということを真剣に話し合える仲のいい友人に、「それ、まず実績作ってから応募したら。実績なんて何でもいいんだよ、ブログで記事を書いてストックするとか」と、ごもっともなアドバイスを頂いて、付け焼き刃だがブログをつくることにした。
ブログに書いたネタは、「バッキー動画まとめ-本物のレイプが見たいっ!」や「独断と偏見でつくる恵比寿マスカッツの相関図」など。それを添えて、「こういうの書いてます。」と送ったところ、以前応募した時とは違う反応が次第に返ってくるようになった。「サンプル記事を○文字で書いてください」という返事が来て、書き、WEBに掲載してもらう。その掲載された記事を実績としてまた別のところに「こういうの書いてます」と送り、サンプル記事を書いてから、掲載。という地味で地道な歩みが始まった。

やまいだれの「痴性」

私は、「エロいことにとても興味がある」ことを、痴女の「痴」と「知的好奇心」をかけて「痴的好奇心がある」と表現する。知にやまいだれがついて「痴」となるが、エロいことへ強い興味があることは、どこか病んでいる部分があるのかも知れない、と思う。エロは、人の病んだ部分を埋めてくれる、素晴らしいコンテンツだ。世界共通で笑えるし、興味が刺激されるし、人を傷つけないし、人体の不思議にも関わってくる。
でも、エロは公の場では出してはいけない。TPOをわきまえる。「女がノリノリで下ネタを言うのは引く」。私は痴的好奇心を表に出さなくなる。本当は興味のあることを口に出せないというのは、物凄くしんどいことだ。私はストレスがたまると、ちんちーんまんまーんと歌いたくなる。その抑圧された思いを放出させてくれる場が、私の場合は「WEBコラム」だった。

好きだけど好きと言えないこと、興味があるけど足突っ込んだらあまり人に言えないことって、人それぞれあると思う。そこで周囲の目を気にせずに足を突っ込んでみると、自分の居場所が分かり、しっくりきて、根が固まる感覚を感じる。法に触れないことならば、ぜひこれからも片足から突っ込んでみて、自分の居場所を見つけていきたい。
抑圧された痴的好奇心を放出できるこの場は、私にとってかけがえのない財産だ。まんこ。

三尾やよい

悪趣味が高じてフリーライター。エロ・グロ・ゲテモノ。アダルト系WEBコラム連載/ニュースメディア翻訳ライター。毎日がFernweh(;-;) 将来の夢はベルリンで引きこもって夜な夜なテクノ鑑賞。