「国民総セックスレス時代」が叫ばれる日本において、性欲の低下は深い社会問題とも言われています。そこでトイズマガジン編集部は「性欲アップ講座」を開設。毎回、性のプロフェッショナルをお迎えし、性に関する悩みや不安の解消を提案しています。今回、ご教授いただくのは、素人系人気AVメーカー・ディープスでプロデューサーとして活躍しているイケパイさん。最終回はイケパイさんから見たAV業界の”今”と”これから”を語ってもらいます。

――イケパイさんがAV業界に入って約14年。ユーザーの傾向に変化が出てきたとは思いませんか?

AVプロデューサー イケパイ(以下、イケパイ):もう純粋に、ユーザーさんがその年月の分だけ年を取られてますよね。特にセルDVDの方はすごく感じます。配信の方はちょっと違うんですけどね。

――セルDVDと配信で客層が違う?

イケパイ:売れるものが違うんですよ。傾向を見ていると、配信はまだ若い人が見てるのかなと感じます。これはディープスに限ったことではなく、他メーカーの配信で売れる作品を見ていて、パッケージのデザインも企画のテーマもチョイスが若いなと思います。

――具体的に、配信ではどんな作品がうけてるんですか?

イケパイ:ナンパものですね。外で出会った女の子を家に連れ込んで……みたいな作品が人気のようです。これって普段の生活の延長上にある世界観で、女の子も若くて可愛いっていう……比較的、若者にとってのリアリティがあるものなんじゃないかと。

――逆にセルDVDの方はどうなんでしょう?

イケパイ:あっちはまったくリアリティを求められてないと思うんですよね。熟女系が好調だったりするわけじゃないですか。実生活というよりもファンタジーですよね。

――なるほど。世代によって好みが分かれるってことですかね。AV=ファンタジーのセルDVD層と、AV=リアリティの配信層。

イケパイ:言ってみれば、昔からのAVユーザーはリアリティは求めてないんだと思います。だって、義母と息子がデキてて義父ともしちゃってて夫がネトラレ属性とか、現実にもあるかもしれないけどかなり特殊なわけで……。でも、その有り得なさが求められてるんですよね。

――リアリティといえば、VRについてはディープスはどう取り組まれているんですか?

イケパイ:すごいですよね、VR。でもディープスでは2本しか撮ってないんですよ。というのも、うちではVRに関しては機材なり技術なりの体制がまったく整えられてないので……AVだけで精一杯です。

――そうだったんですか。ディープスの作品の資質を考えると、メーカーとして親和性がありそうな気がしてたんですが……。

イケパイ:ディープスは効率が悪いかもしれませんが、一本の製作にかける時間がすごく長いんです。だからVRまで手が回らないのが本音だし、中途半端に手を出すこともよくないジャンルだと思います。

――つまり、せっかく取り組むなら本腰入れないと厳しいのではないかと?

イケパイ:そうですね。やるならガッツリじゃなきゃ意味がないと思います。

――VR-1グランプリにも出場されてたんで、今後力を入れていくのかと思ってました。

イケパイ:あれは、VR-1グランプリという販売できるフィールドを与えてもらったんで出来たことなんです。普段なら、それを作ることにものすごい労力も人員もお金も必要になるはずなので……。

――今はDVDや配信を見ているユーザーを満足させるものを作りたいという気持ちなんでしょうか。

イケパイ:でもこの前、ちょっとハっとしたことがありまして。私は常々「いい作品を作りたい」って思いながら頑張ってきたんですが、そういう努力をするのは当たり前のことなんですよ。それだけじゃなくて、AV業界全体を良くしていく努力をディープスもしていかなくてはならないんだなって。

――それがイケパイさんの中での気付きだったわけですね。

イケパイ:今のAV業界って、本当によくない流れがあって。周りが良いものを撮ってないんですよ。それが当たり前のように市場に出てるんです。そんな仕事をしてる人たちと自分を比べて、「私は良い作品をつくってる!」なんて言っちゃいけないなって思います。

――今後のイケパイさん、およびディープスの目指すところは?

イケパイ:売れてるメーカーでずっといたいなって思ってます。時代の流れに敏感でいたいですね。ぶっちゃけ、私は「名誉」が大好きなんですよ(笑)。

――名誉! それは「売れてるメーカーのプロデューサーである」という名誉!?

イケパイ:それもありますが、賞レースで賞をとったりとか……。今はAV OPENしかないけど、あれはいいですよね。一年分の称賛じゃないですすか。

――そうですね。確かに、売れてるメーカーにしか与えられない称号です。

イケパイ:「売れてないメーカー」と周りに思われたくないんです。「撮ることが楽しい」「好きなものを撮ってる」で満足したくない。だって売れてるってことは、仕事ができるってことと同じですから。プロデューサーという肩書きがある中で、作品が売れてないって本当にキツいと思います。

――ディープスは2016年の10月から流通がSODからTISに変わられていますが、その中でイケパイさんは自らショップに足を運んで作品の売り込みをしてたとお聞きしました。

イケパイ:通常業務にプラスして日本全国のショップをまわってたので、あの時は本当に大変でした。実際、あのタイミングで売り上げが下がったりもしたんです。でも、お店の人に直接会いに行って話して、その後も連絡取れる関係性を築いて……そうやって、もう一度ディープスを盛り立ててきた自負はありますね。

――それもう、本来はプロデューサーの仕事じゃないですからね!

イケパイ:そうなんですかね? まあ、うちは本当に小さい会社ですから。普段の仕事とは違うことでも、社員ひとりひとりが少しずつでも売り上げをアップさせるよう頑張り続けなければならないと思ってます。

――ありがとうございました。
(取材・文・写真=もちづき千代子)

イケパイ

“恥じらい素人企画”AVメーカー・ディープスのプロデューサー。「ザ・マジックミラー」「マジックミラー便 」「一般男女モニタリングAV」など数々の人気シリーズ作品をプロデュースしている。AVOPEN2017では、ドキュメンタリー部門1位&総合部門2位という輝かしい成績を残した。