2XXX年、性器の3Dスキャンが合法化された。テクノロジーは進歩し、性器の外形だけでなくナカまで撮れるようになった。アダルト業界はこれを大いに有効活用し、AV女優の中身は公開されるようになる。「本物の中身のオナホ」が大流行した。女優たちは、自分の中身を具体的に知ることができるようになったことで、「ヒダがない」「穴が大きい」といったコンプレックスを性器整形して解決した。「あいつは整形マン」と、性器の整形を快く思わない人も多く、顔の美容整形と同様に、「自然な形」「リアルさ」も重宝されるようになっていた。

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「ねえーこうちゃん、いいからチューして」
リコは、17歳のグラビアアイドル。勉強が苦手だったが、人前に出るのは好きだったので、芸能事務所を受けまくって、やっと引っかかった小さな芸能事務所に数か月前から所属している。幼く真っ白な顔。華奢な体型なのに、胸はふくよか。着エロを中心に活動している。しかし、人前に出るにしては顔立ちが不出来で、なかなか人気が出なかった。
「待ってね。今撮ってるから」
リコに「こうちゃん」と呼ばれた男は、リコの所属する小さな芸能事務所の経営者の光一。髪はパーマで黒縁眼鏡、バンドマンのような恰好。光一に誘われて、リコは周囲に内緒で付き合っていた。リコにとって初めての彼である光一は39歳で、大人の余裕がまぶしく思えた。光一にセックスの手ほどきをしてもらったわけだけど、光一は淡泊で、年のせいか勃たない時も多く、おまけに忙しかったので泊まってもセックスなし、という日が多かった。まぁ、それはそれで、リコはセックスはこんなもんなんだろう、と思っていた。
光一は、手に3Dスキャナーを持ち、リコのまんこをスキャンしていた。
「もーそんなのいいじゃん、今ギュってすればいいじゃん」
「俺忙しいから全然会えないじゃん。だからリコちゃんの分身をつくってんの」
裸のまま、機械をかざされてイチャイチャできないのは悲しかったが、リコは、光一のそういうクリエイティブなところが好きだった。

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数日後、光一はリコのまんこ3Dデータをコンビニに持って行った。コンビニでは、3Dスキャンデータがあれば、手軽に物を印刷できた。出力対象をシリコンに指定して印刷する。リコの中身が出てきた。外から見ればただの丸い何かだが、周囲に見られないようにコソコソと鞄に隠して帰宅する。
光一は、その穴に指を突っ込んでみた。無数のヒダもしっかり再現されていた。リコは正直、可愛くなかった。けれど、光一はリコの一番の強みを知っていた。ミミズ千匹にカズノコ天井、タコ壷……と、全ての条件が揃った凄まじい名器なのだ。
弱小事務所だからそこ、光一は毎日とても忙しかった。リコは一人で活動していて、声が掛かった時に、若手の売れてない女を集めたネット動画に出たりということしかしておらず、普段は芸能人気取りで女子高に通っていれば良かったので、暇を持て余していた。

あるネット動画の企画に、他の売れてない若手の女と出演した時。その企画の司会を務めた、売れてないお笑い芸人の男は、名前を大貴と言った。25歳。鋭い一重。丸眼鏡をかけてパーマ頭の、普段は大人しいのに突然奇声を発する男。その芸人のサブカル臭溢れる出で立ちは、リコのタイプ、ド真ん中だった。すると、あちらからこっそりと連絡先を聞いてくれたものだから、リコは舞い上がった。

「リコちゃん映画好き?」
「大好きだよ! ちょーつまらない映画でも、いくらでも観れる。」
「映画みよーよ! 俺も家でまったり見るのが好きだから」

後日、大貴のバイトが無い日に、彼の住む小さなアパートに足を運んだ。玄関に着き、インターホンを押すと、すぐにドアを開いてくれた。
「おー! 待ってたよ」
彼は普段の鋭い目つきからは想像できない可愛い笑顔を見せる。可愛いじゃん、と思った。
部屋に入ると、カレーの匂いがもわっと鼻に入ってきた。
「えー、つくってるの! すごいね!」
「そう。リコちゃんに俺カレーを食べさせようと思って!」
部屋の隅には、ギターとキーボードがあった。
「楽器やってるの、すごいね!」
バンドマンに目がないリコが目を輝かせていうと、大貴は口を一本に結んで黙った。
「え、照れてるの」
「うん だって人から誉められないし。」
可愛いなぁ。

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大貴カレーは美味しかった。リコは親元から離れたことがなく、まったく料理をしないから、人にもてなす料理が作れるだけで、大したものだと感心した。
「リコちゃんさ」
「ん?」
「ずっと思ってたんだけどさ、俺の元カノにそっくりなんだよね」
「なにそれ! 超うける」

カレーを食べ終え、PCを起動して段ボールの上に置いた。映画を観るときは電気消すでしょ! と大貴が言うので消した。リコはこの状況に興奮して、家に帰ったら大樹をオカズに自慰でもしようなんて考えていた。
映画に集中し、ちょっと涙なんか流して、映画は終わった。エンドロールの黒の画面と音楽に二人で浸る。すると、大貴がリコの顎に手を伸ばし、つねってきた。
「ぶよぶよ」
「うざ! なに~」
大貴はリコの顎をむにむにと触る。大貴の指は、顎から頬に移動した。
「きもちぃー。ずっと触ってたい」

愛しく思われているのが嬉しくて、ふへへと笑い色目を使って大貴を見てしまう。段々変な雰囲気になってきた。これはヤバいやつだ。もう、瞳が大貴から離れなかった。ほっぺを揉まれて、頭や腹の辺りがぞくぞくしていたし、下は熱くなっていた。恐らく、すでにぐっしょりと濡れている。
ふに、と優しく唇を重ねると、もうああしてやろう、こうしてやろうと大貴の口をまさぐった。彼の舌使いのほうが一枚上手で、口内をまさぐったかと思いきや、キスをやめると、耳を舐めてきた。耳を愛撫されるのが初めてだったリコは、新たな快感に心底陶酔してしまい、「ああ……あ……」なんて声が出てきた。こんなに気持ちのいい場所があるとは知らなかった。リコは段々と押され、大貴が上に覆い被さった。愛撫の種類をあまり知らなかったリコは、彼の為すがままにされた。彼の舌は相変わらず耳を愛撫し、手は胸に延びてきた。服の上からとてもゆっくりと揉みしだく。「あー……んー……」と、可愛いAV女優とは程遠い声が出てしまう。大貴が、リコの首をすっと舐めた。全身にゾクゾクが走る。大貴が「暑い」と言ってパーカーをばっと脱いだ。もうこれでは、行くところまでいってしまう。
「脱がせて」
「うん」

大貴のズボンのベルトをカチャカチャと外し、ボタンを取り、チャックを下ろす。彼のものはパンパンに張っていた。彼はパンツと靴下だけになって、再びリコに覆い被さる。彼の身体が密着して、とても興奮した。彼が、リコの足に自分の足を絡ませてくる。彼のものがリコに当たる。熱くて、気持ち良くて、リコは腰を上下に動かして、パンツの上から彼に擦り付けてしまった。
「ねえ、腰動いてるよ。変態」
大貴はいやらしい視線を落としてリコに囁いた。
「リコちゃん、脱がしていい?」

大貴が物欲しげな少年のように上目遣いで訊いてくるから、その視線にリコはまた熱くなってぞくぞくして、自分のYシャツのボタンが外されるのを待ってしまう。大貴がリコのYシャツを脱がすと、リコの黒レースのブラが顕わになった。彼はブラの上から乳首をするすると擦る。全身に快感が走る。手をリコの背に回し、するっ、とブラが外される。乳首は乳輪までぷっくりと膨れ上がっていた。彼はリコの目を悪戯に見て、柔らかい舌で乳首を舐める。
「あぁっ」と、リコは驚いたような声を出してしまう。
「リコちゃん気持ちいいの?」
「うん、すごい気持ちいい。やばいかも。おかしい。すごい気持ちいい」
リコは、従順な犬のように素直に感情を口にする。
「本当に変態なんだね、どうして欲しいの?」彼がリコの耳にかじり付くように言うと、鼓膜に媚態が伝わって、また感じてしまう。

「リコちゃん後ろ向いて」
「え、うん」
彼の腕の中で、うつ伏せに体制を変える。と、彼がゆっくりと首筋に舌を這わせてきた。次第に舌は背中へ移動し、肩甲骨の窪みを這う。「あ、あっ!」とリコの口から声が漏れる。
「リコちゃんどうしたの?」
「え、背中とか舐められるの初めて。すごい気持ちいい。どうしよう」
「リコちゃん、可愛い」
大貴は、うつ伏せのリコのパンツを脱がせると、ゴムを付け挿れてこようとする。
「えっ、入らないでしょ!」
リコは初めての寝バックに驚いたが、大貴のちんこはぬるりと入った。
「えっ! なにこれ! めっちゃ気持ちいい」
大貴はそう言って、激しく腰を振った。光一の元気のないものと違って、若さの溢れるちんこはパンパンに張っていて、中をグリグリとまさぐって、想像を絶する気持ちよさだった。
大貴は「あぁあああ」と派手に声を出して、精子をリコの背に出した。大貴はティッシュを2、3枚とって、それを拭いた。

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リコが、靴を履く。
「リコちゃん、ごめんね、知り合いに会うとヤバイから下まで送れないんだけど……」
「ううん、もちろん大丈夫だよ、じゃ」
最後にまた絡みつくキスをして、すぐ彼の部屋を出た。全裸の彼は情けない姿で手を振る。

リコは、大貴のセックスに魅了されてしまっていた。でも、光一にバレたらまずい。関係は終わるだろうし、事務所にもいられなくなるだろう。親にもバレるかも知れない。数少ない禿あがったファンたちにバレたら、殺されるかも知れない。歩いていると、心がどんどん重くなっていった。しかし、良いことなんてひとつも無いと分かっていながら、大貴から「元気? 会いたい」なんてメールをもらうと堪らなくなって、アパートに向かってしまっていた。大貴に、はやく色んなところに舌を這わせて欲しいと願った。大貴は売れていない割に、あまりバイトを入れていないらしく、週に数回は会えた。

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「これ、何」
リコと大貴の逢瀬は、あっさりと光一にバレてしまった。
事務所に二人きりの時、リコが携帯を机に放ってトイレに行っている間に、光一が二人のメールやハメ撮り写真を見た。
「ごめんなさい」
「お前さ……。最悪だな。まぁ、いいよ。すぐ事務所やめろなんて言わないし。反省してもらって、がっつり稼いでもらうから」
光一は静かに怒った。それが逆に怖かったが、家族の反対を押し切って芸能事務所に入った手前、事務所を辞めるということできず、人気が無いから別の事務所に行くというのも現実的では無かったので、リコは大人しく光一の事務所に所属し続けることにした。

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数日後。携帯の振動でリコは目を覚ました。
大貴からのメールだった。その前にも、何回も大貴から電話の着信が入っていた。
大貴が送ってきていたネットニュースのURLをクリックする。

――未成年グラドル アソコの3Dスキャン流出!

三尾やよい

悪趣味が高じてフリーライター。エロ・グロ・ゲテモノ。アダルト系WEBコラム連載/ニュースメディア翻訳ライター。毎日がFernweh(;-;) 将来の夢はベルリンで引きこもって夜な夜なテクノ鑑賞。