「元彼が語る清純派アイドルの素顔……性器をスキャンさせる夜」
文章と共に、リコの裸と顔写真、裸の局部が隠された写真も掲載されていた。写っているベッドは見覚えがあるもので、光一が匿名でリークしたものと思われた。
心臓が止まる思いでインターネットで自分の名前を検索してみると、自分の性器の3Dスキャンデータが様々なページに貼り付けられていた。しかし、データなので形などは分からないし、本当に自分のものかも分からない。だが、同時に流出した裸の写真とセットになってまとめられていたので、信憑性は高かった。

せっかくリークされたのに、リコは無名で注目度の高くないセミプロレベルのグラドルだったため、テレビや週刊誌には一切掲載されなかった。主にネットを中心に、記事が増えていったようだった。ネットに疎いはずの母親が、どこからかこのニュースを見ることになり、娘のあられもない姿をスマホの画面で目の当たりにすることになるかも知れない。光一を裏切って、こんなことになってしまっていたから、今度は光一に殺されるんじゃないかと思い、怖くて連絡はできなかった。光一からも、連絡が来ることは無かった。

学校の、そんなに仲良くない男子から、「リコのまんこ凄かった!!!!!」とメールがきた。こいつは、破天荒と自分で思っているキャラで、こうして空気を読まない行動を誇らしげにやる、薄っぺらくて周りから信用されていない奴だ。恐らく、リコのことが男子の間で話題になっていて、「俺はリコにこう言ってやった」と自慢しているに違いない。この事件があってから、学校になんて行けるはずもなかった。今まで散々、自分は芸能かじってるからと周囲に吹聴してきたが、学校中の人たちが冷やかに嘲笑っている夢ばかり見た。近所を歩けば嫌なババアに会うかも知れなかったし、リコは身動きがとれず、引きこもるようになった。この件以来、お笑いの卵の大貴とも連絡が途絶えた。女手ひとつで育ててくれて、水商売をしている母はいつも帰りが遅かったが、リコが何かを抱えて引きこもっているのは薄々気付いているようだった。優しさなのか、興味がないのか、特に何も言われることは無かった。
完全に昼夜逆転した生活の中で、別段面白くもないスマートフォンのゲームに勤しんでいると、リコの携帯に一本の電話がかかってきた。電話なんてほとんどかかってこないのに。光一だった。

「仕事入った。水着」
冷や汗が出て、腹わたが煮えくりかえる思いだったが、芸能界への未練は捨てきれず心臓がバクバクしだした。リコはとにかく、「ふつうの生活」がしたくなかった。勉強をすると頭痛と吐き気が起きるし、かといって就職先も無いし、コンビニで細々と働くのもムリ。自分には、魅せる職業が合っている。この先、ずっとこんなふうに怯えながら生きていたって、人生がいい方向に向くことなど絶対にない。どうせ落ちるところまで落ちたんだから、今の自分には怖いものなんて無いんじゃないか? この仕事に自分の人生をかける思いで、リコは打ち合わせに向かった。

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3年後。
グラビアアイドル界の重鎮となったリコは、光一の部屋にいた。
リコまんの流出後、3Dスキャンを印刷する者がじわじわと増えるにつれて、リコの凄いまんこが知れ渡っていくと、水着の撮影会やイベントなどに、大勢のリコまんファンが集うようになった。「天然最高級アワビ」「アンチ養殖の希望の星」と称えられるようになり、リコは「千年に一度の名器」の異名を持ち、財を成した。リコは、過激すぎる格好なんてする必要は無かった。清純っぽい格好をしてたって、ファンのみんながリコのまんこを知っているのである。むしろ、清楚な格好をすれば、ファンは勝手にギャップを感じて更にリコを好きになっていくのだった。

「ほんとあの時は最悪だったわ。死のうかと思った。でも死ななくてよかった~!」
懲りないリコは、光一とよりを戻していた。光一は、回想する。
「まあ、リコが浮気しようがしまいが、性器は世に出そうと思ってたんだけどな。あの性器は、内に秘めてるのは勿体なさすぎた。容姿も個性も微妙なリコの、一番輝く場所だった。なのに、外に出せないなんて、宝の持ち腐れだ。他人の性器を、ほんの一握りの人しか知ることのできない時代から比べると、いい時代になったな」

ほどなくしてリコはグラビアアイドルを引退し、光一とリコまん御殿で仲睦まじく暮らした。

三尾やよい

悪趣味が高じてフリーライター。エロ・グロ・ゲテモノ。アダルト系WEBコラム連載/ニュースメディア翻訳ライター。毎日がFernweh(;-;) 将来の夢はベルリンで引きこもって夜な夜なテクノ鑑賞。