現代の日本人は性欲を失いつつあると言われています。「国民総セックスレス時代」と叫ばれる昨今の現状を嘆いたトイズマガジン編集部は「性欲アップ講座」を開設。毎回、性のプロフェッショナルをお迎えし、性に関する悩みや不安の解消を提案しています。第三回、第四回でご教授いただくのは、障がい者専門デリヘル「はんどめいど倶楽部」で働くまゆみさん。障がいを持ちながらもキャストとして活躍中の彼女は、なぜ風俗で働く道を選んだのでしょうか。

――まゆみさんが「はんどめいど倶楽部」で働き始めてどのくらい経ちましたか?

「はんどめいど倶楽部」キャスト・まゆみさん(以下、まゆみ):ここでは去年の8月くらいから働き始めたので、8カ月くらいになります。私は生まれつき先天性の脳性まひを持っているのですが、学生時代からずっと風俗業界に興味は持っていたんです。その中で「自分のようなキャストがいてもいいのでは?」と密かに考えてはいましたが……。

――その考えが現実のものになるとは思わなかった?

まゆみ:そうですね。脳性まひというのはむしろ、「はんどめいど倶楽部」のお客様に多い障がいなんですよ。だから風俗で働くことなんて完全に妄想の世界という感覚でした。まさか、こんな自分を受け入れてくれる場所があるとは夢にも思わなかったです。

――「はんどめいど倶楽部」の存在はどうやって知ったのですか?

まゆみ:障がい者にまつわる性の問題を調べ続けていく中で知りました。応募は自分から。お店としても障がい者をキャストとして雇うのは初めてだったようですが「いいんじゃない」と言ってくださいましたね。本当の意味でバリアフリーなお店だと感じました。

――初めてのお仕事の時のことは覚えていますか?

まゆみ:はい。とにかく緊張してましたね。はっきり言って固まっちゃってました。お客様に「緊張してるよね?」と言われてしまったことが、今でも心残りです。

――そのお客様自身は健常者の方ですよね? ということは「はんどめいど倶楽部」を始めて利用される方だったのですね。

まゆみ:「はんどめいど倶楽部」どころか風俗自体も初めての人だったんですよ。「初めてで私!?」って本当に驚いちゃいました。本当にもの好きっていうか……(笑)。

――でも、その方はきっと「風俗童貞はまゆみさんで捨てたい!」という確固たる決意で指名してきたのでしょう?

まゆみ:それは有り難いことですよね。決して安くはないお金を払って来てくれたんだし……。ただ、彼もものすごく緊張してしまってて、ずっとお互い緊張し合ってた感じでしたね。

――ちなみに、その時のプレイってどんな感じで行われたのですか? 基本的にはまゆみさんが受け身という形になるのでしょうか。

まゆみ:いえ。受け身になることもあるし、こちらから責めることもあります。体のことがあって難しいところもありますが、ホームページに書いてあるサービスは一通りさせてもらいます。

――でも、ホテルで二人きりの状態の時は、ほかの方からの介助はないわけですよね。そういった時はお客様がある程度の介助をしてくださるのですか?

まゆみ:お客様に協力を求めることはありますが、それを介助ととるかどうかはその人次第かな、と思ってます。でも、ラブホテルって本当にバリアフリーが無さすぎんですよ。お風呂も段差がありすぎて衝撃的でしたもん。

――過去にプライベートでラブホテルに行かれたことはなかったのですか?

まゆみ:そもそもラブホテル=介助が必要という情報があったので、行こうとも思わなかったです。昔住んでいた障がい者用の寮で「ラブホテルに行けない」と言って泣いている車イスのカップルをたくさん見てきましたし……。実際に行ってみて「ああ、こういうことなのか」と納得しましたね。

――でも、そんな中でまゆみさんはしっかりと自分のお仕事を全うされたのですよね。

まゆみ:私は「はんどめいど倶楽部」に於いては、あくまでも接客する側ですから。施される側の人間ではないので、やりながら切磋琢磨していくしかないんです。この経験を経て改めて感じたのは、何事も知恵と工夫と立ち回りだということ。できると思ってたことができなかったり、できそうになかったことができたり……それを次にどう繋げるかを考え続けて仕事をしています。

――それは敢えて、まゆみさんの「努力」と言わせていただきたいですね。健常者の風俗嬢でも、そういった考えを持たずして適当なサービスを提供する人も多いのに……。

まゆみ:ああ……確かにツイッターを見ているとたまにビックリしますよね。お客様やお店に対しての文句ばっかり書き連ねている風俗嬢のツイートはよく目にします。私がそれを見て感じるのは、納得してこの世界に入ったか事情があったかの違いです。私は常に、自発的に入った分だけ頑張れる部分もありますよ。まあ、ぶっちゃけてしまえば心情的にはいろいろあるのですが……。

――その”いろいろ”は、具体的にはどういった気持ちなのですか?

まゆみ:風俗という仕事が「何で虐げられなくてはいけないんだろう?」という疑問ですね。私は学生時代からずっと、この仕事は接客業であり、お客様の前で演じることのできる女優であると考えていました。きちんと風営法に則っているのに「なぜそこまで?」と思うことが多々あるんです。

――まゆみさん自身も、そうした意見に晒されることがあったのでしょうか?

まゆみ:いや、もう私なんかは障がいがあるからこそ、さらによく言われますよ。「おまえのところなんかに誰が行くか」みたいな。私からすれば「お前は来なくていい!」なんですけどね(笑)。

――その啖呵、カッコいい(笑)。

まゆみ:だって、今私が風俗嬢として働いていることは事実なんで。この世の中には色んな嗜好の人がいる。だからこそ、面白いんだと思います。

――次回はまゆみさんが対峙する自らの性について語っていただきます!

はんどめいど倶楽部
Twitter:@handmaidc

2010年にオープンした、障がい者専門のデリバリーヘルス。介護士として働いていた山本翔さんが、介護現場の悩みを拾い上げる形でスタートさせた。「アンダーグランドな文化にもノーマライゼーションを」を合言葉に、タブー視されがちな障がい者の性に真っ向から向き合い続けている。