翌日の金曜夜、仕事が終わり携帯を取り出すと、また見覚えのない番号からちょうど電話が掛かってきた。テレビ局のやり口はもう分かってる。勝手に色々な番号から電話を掛けてくる。きっとテレビ局だ! そう思って電話に出ると、案の定、昨日の面接の丸眼鏡からだった。
「どうも、西山です。ゆうひさんで合ってます?」
「あ、はい! お疲れさまです」
「うん、お疲れさまです。昨日はどうだった」
「あー、えーっと、うーん、みんなハキハキしてて、自分はちょっと違うかもと思っちゃいました」
「えー、そんなことなかったけどなあ。まあ、昨日はバタバタしてたし、話足りないこともあると思うから。ちょうど僕も仕事終わったんで、また少しお話し聞かせてもらえない?」
「はい、お願いします」

ゆうひは、西山というこの男の誘いに、体が熱くなる何かを感じた。
待ち合わせの恵比寿に行くと、西山がいた。オジサン世代とは思えないほどシュッとしてファッショナブルで、見られる業界というのはこんなにも人を輝かせるのか、とクラクラしてしまう。
行った先は、明るい店内だが席数の少ない洒落た居酒屋だった。ビールを頼み、西山が口を開く。
「ゆうひさんさぁ、昨日、あと20キロ痩せたらとか言ってたじゃんね」
「あー、はい……」
「絶対そんなことしちゃダメだよ。今くらいが良いんだよ」
はじめはそんなふうに丁寧な言葉でお世辞を言っていた西山だったが、酒が進むに連れて、その言葉は淫らになっていった。

「正直ね、ゆうひさんの体型、もの凄いムラムラするんだよね。そのウエストとかね、持ってめっちゃ腰振りたくなるよね。あと10キロくらいは太っても余裕だよ」
「えー、それってデブ専じゃないですか?」
「うーん、友達からはそう言われてて、ずっと否定してたんだけど……そうかも知れないなぁ」
西山とゆうひは笑った。へえ、デブにはデブの需要があるのか。
「そのね、鎖骨見えるシャツとかウエストとか、君、自分をよくわかってるよねー」
「あはは」
「正直めっちゃ抱きたいと思ってるよ。まあ、そういうの嫌だろうから真に受けないでよ」
「いや、無理です。真に受けますよ」
この男の誘いに乗ろうか、乗るまいか。自分の理性や世間体とよく相談したのだが、体が言うことを聞かない。早く西山に触れたくて仕方がなかった。
「えー、本当に? 僕は本気にしちゃうよ。」
「ひどいー、その気にさせといて」
西山は笑って、辺りをキョロキョロ見渡した。そのフロアに残っている客は自分達だけで、店員もホールの中で何か作業している。しかも、二人の席は店員からは死角だった。西山がふいに、ゆうひの頬を持つ。唇を重ねようとした途端、「すいませんラストオーダーです!」と威勢のいい店員が飛んできて、ゆうひはしどろもどろになった。西山は余裕の表情で「大丈夫です」と断った。
「ゆうひちゃん、終電ある?」
終電はあったけど、走ってやっと間に合うくらいの時間だった。走る気なんて、さらさら無かった。
「僕もさ、こんな歳だし、ガッついて怖いことなんてしないから、とりあえず家来なよ」
「えーっ。いいんですか、お邪魔します」

****

西山の家は、この居酒屋から歩く距離にあった。なんだ、西山はもともとこのつもりでこの場所を選んだのか。手慣れた飲みコースなんだ。
マンションはとても広くて綺麗だった。オートロックの玄関。1階なので夜景が見えるというようなロマンチックなことは無かったけれど、自分では到底住めないような広さのマンションだった。
「奥さんいないんでしたっけ?」
「前はここに一緒に住んでたんだけどね。今は別居中で、違うとこに住んでる」
ゆうひは、「へぇ……」と言って、壁にある大きな本棚に釘付けになった。漫画がずらりと並べてあって、サブカル女ホイホイの本棚だった。
「えー! エヴァ好きなんですか。わたしも!」

西山が、後ろから腰に手を回してきた。ゆうひの尻に、熱いものが当てられているのがすぐに分かった。その棒の存在を感じて、ゆうひは濡れた。二人は黙った。何か言葉を発するのは野暮に思えた。
正直ゆうひは、一次面接の時から西山の胸板の厚さや醸し出すオーラをいやらしい目で見ていた。これは、なるべくしてなった状況だ。西山が、ゆうひの腰を撫でていた手を上に滑らせ、胸に這わせた。
「んんっ」
「気持ちいいの?」
「はい…」
西山のペニスがさっきよりも膨らんでいるのがわかる。
「シャワー浴びる?」
「はい」
「一緒に浴びる?」
「はい」
「何でも『はい』って言うんじゃないよ」
西山は笑う。

狭いシャワーに二人で入り、熱いお湯をかけて洗いっこをする。西山の背が高くて手が届かない。濡れた体で密着すると普段とは違う気持ち良さがあった。西山の勃起したペニスが腹に当たってくすぐったい。その存在で、さらにゆうひはジンと熱くなる。
舌を絡ませるとビールの臭いが鼻についたが、互いがベストコンディションでない状態で絡み合う必死さが、ゆうひを増々興奮させた。
シャワーから出てベッドに行く。ダブルベッドだ。西山がベッドに入り、ゆうひは隣に寄り添って寝る。舌を絡ませ、足を絡ませて、西山の指先はゆうひの乳首を転がす。その指遣いが非常にうまくて、ゆうひは「あっ、あっ!」と声を出してしまう。乳首は、練り消しを作るのと同じくらいの強さで転がすとめちゃめちゃ気持ちいい。ゆうひは西山の腹に手を伸ばし、そこからさらに下に滑らせ、勃起したペニスを優しく掴むと、ゆっくりと扱いた。
「あー…。気持ちいい……」
西山がぎゅっと目をつむる。
「もう挿れたくなっちゃったんだけど」
西山はそう囁く。
ゆうひも、クンニもフェラも面倒で、早く挿入したい、腰を振りたい、ピストンしたいと思っていた。西山が引き出しからコンドームを取り出す。箱は開封済みで、何個か使われているのをゆうひは見逃さなかった。
西山のペニスはパンパンで、ゴムはきつそうだったが何とか入った。西山はゆうひに「後ろ向いて、四つん這いになって」と言って、バックの体勢でペニスを挿れた。
「あっ、大きい! あっ、あぁ、あぁ」
一気に、ずぶりと挿れられた。激しく突いて、と願ったが、西山は腰を振らない。あれっ? と思っていると、まだ射精していないペニスを膣から抜いてしまった。

三尾やよい

悪趣味が高じてフリーライター。エロ・グロ・ゲテモノ。アダルト系WEBコラム連載/ニュースメディア翻訳ライター。毎日がFernweh(;-;) 将来の夢はベルリンで引きこもって夜な夜なテクノ鑑賞。