ラブホテルのエレベーターの扉が閉まると、純一は麗をじっと見つめ、腰に手を回してキスをした。彼の唇は柔らかく、すぐに下が湿った。
「んん」
麗が声を漏らす。

部屋に着き、ソファに座る。純一はスーツのジャケットをハンガーに掛けるとソファに腰を下ろし、再び麗の唇に吸い付いた。純一は麗の胸をまさぐり、乳首を服の上からゆっくり摘んだ。
「あっ」
ずっと触って欲しかった場所を触られて、麗の声が漏れる。
二人はベッドになだれ込む。純一がベッドの壁にもたれて座ったので、麗はその上に跨り、対面座位の体勢になった。入っていなくても男性器の形を感じられるこの体勢が、麗は大好きだった。体重が乗らないように麗は少し腰を浮かせて、パンツごしに擦り付ける。
純一が、麗の耳を咥えた。耳責めはヘタな男が多い。無駄にブチュブチュと音を立てる男やベロンベロンに舐める男、なぜかフーッと冷たい息を吹きかける男。すべて気持ちが悪い。しかし、純一の耳責めはとてもうまかった。耳の中をベチョベチョにせずに、うまく甘噛みと暖かい息で責めてくる。
「あ! あっ……あ、」
全身がゾクゾクする耳責めに、麗は思わず大きな声を漏らす。
愛撫する時間が勿体無いくらいに二人は興奮していたので、コンドームをつけて挿入した。はじめは「なんか細いなあ」と感じたが、ピストンしているうちに純一のペニスはゴリゴリと筋張り、とても硬くなって、麗の膣に打ち付けるように腰を振った。
「あぁ! あ! あ! 気持ちいい」
麗は目を瞑って快感に耽った。
この男はすごい。まるでディルドのように硬くて小さくならなくて、ずっと挿入していられる。
騎乗位に飽きて引き抜くと、純一は麗を四つん這いにさせた。麗はくびれが綺麗に見えるように、尻を突き出して肩を落とした。純一のペニスがニュルンと入る。
純一が腰を振る。
「ああっ! あっ! あっあっ」
バックだと、ペニスの根元まで入ってものすごく気持ちが良い。

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「ありがとう、また会えるかな」
連絡先を交換する。麗は、約束はできないけど多分ね、と言った。

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純一が、カタカタとキーボードを打つ。
「スタイル良し! 自分史上最高齢のアラフィフ美魔女とノーグダ即」

純一の趣味はナンパだ。数年前、青森から東京に転勤してきた。東京の人間は、仲良くなったかと思うと突然冷たくなる者が多く、信用できなかった。寂しい気持ちを抱える中で出会ったのは「ナンパ師」の師匠だった。ナンパ師コミュニティは数多くあるが、純一の入ったところは皆気立てがよく、コミュニケーション能力を上げて“いい男”になりたいという志を持つ者が多く、一種の自己啓発サークルのような環境だった。

ナンパをはじめて約3年になる。落とすコツは「共感する」ことだ。相手の話を真剣に聞いているふりはするが、あまり立ち入らないようにする。感情を込めて話を聞いてしまうと、つい反論したくなる時が出てきてしまうからだ。
一番無難な趣味は、「運動と飲み」。ヘタに個性のある趣味を持っていると女はいろいろと評価を付けたがるが、運動なら印象がいい上に良い体が作れる。朝晩合計10キロほど走る毎日を送っていた。お陰で精力には自信がある。ピストン時間も伸びた。

その日は、「即」を目標に街に出た。「即」とは、ナンパ用語で「声をかけたその日のうちにセックスすること」を指す。駅近くをウロウロして、「Mそうな女」、「認めてもらいたそうな女」、「欲求不満そうな女」を探す。ナンパ師特有の癖がつき、その場を通るすべての人間に目を通す。
だが、まったく引っかからない。本当は若い子に行きたいが、最近は変に警戒心が強く、道を尋ねてもスッと避けられてしまう。
すると、前にやたらと気取った歩調で歩いている女がいた。トレンディな巻き髪をブリンブリンと跳ねさせ、腰をくねらせながら一本の綱を渡るように足を交差させながら歩いている。ロングスカートから、細くいやらしい腰や太ももまわりの綺麗なシルエットが見えた。結構年齢いってそうだけど大丈夫か?

「すみません、汐留駅はどちらでしょうか?」
純一は警戒されないように距離感を保って聞いた。顔面チェック。かなり年上のように見える。ちょっとがっかりしたが、顔立ちはマシなほうだ。
「あー。あっちの方ですよ」
「あ、ありがとうございます。ちなみに僕、会社の飲み会のための場所探ししてるんですけど、良かったらご飯でも行きませんか?」

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純一は元から文章を書くのが好きなこともあり、ナンパ記録を事細かにブログ記事にしていたところ、ナンパ師界隈では少し有名な存在になっていた。
「結果は、久々のノーグダ即でした!
若い時に綺麗だったであろう人は、やはり歳を取っても綺麗です。しかも、自分が若い時は到底できなかったレベルの女でも、歳を取ると承認欲求が出てくるので簡単に即れます。あまりの簡単さに拍子抜けするほどでした。細かいシワや体のシナシナ感は照明を暗くすれば薄れます。狙い目は、寂しい勘違い美魔女! 明日も、即を目標にストナンします〜」

三尾やよい

悪趣味が高じてフリーライター。エロ・グロ・ゲテモノ。アダルト系WEBコラム連載/ニュースメディア翻訳ライター。毎日がFernweh(;-;) 将来の夢はベルリンで引きこもって夜な夜なテクノ鑑賞。