究極の男磨き道 ナンパ

アダルトジャーナリストの三尾やよいが遭遇した興味深い人間を紹介するドキュメンタリー。
今回は、ひょんなこと(【緊急インタビュー!】「ナンパ塾」塾生に根掘り葉掘り聞いてみた)から「ナンパ塾」塾生の会合に参加し、そこでひときわ目を惹くピュアボーイに出会ったのでクローズアップする。

「ナンパ塾」に入塾するまで

自分が接触したナンパ塾には、良くも悪くもフツ―の常識的な社会人が多い。年齢はだいたい20代後半~40代前半くらいだろうか。歩く生殖器のようなチャラ男はおらず、独身生活に終止符を打ちたい婚活中の人や、若くしてシングルファーザーとなり新たなパートナーを見つけようと奮闘している人もいる。
そんな中、一人だけちょっと異質な子がいた。「子」というのは、他と比べて明らかに年齢が幼く見えるのだ。肌つやのよい顔とあどけない目に「男子」チックなオーラを醸す角刈り。この子は本当に“セックスするのを目標に抱げるグループ”に入っているのだろうか、と疑問が沸いた。

高校卒業後、食品関係の工場で働き始めた角刈りクンは、自身の稼ぎに不安を感じ、副業で収入を増やそうと考える。そんな時に出会ったのが“電子機器の転売で月にウン百万儲ける”といった内容の、転売塾の塾長のブログだった。新しい世界に飛び込むのが苦でない性格の彼はすぐさま塾長にコンタクトを取り、入会金30万円を支払って入塾。現在は、月に10万円前後の稼ぎが出ているという。転売塾の生徒たちは仲が良く、よく飲み会をしており、その塾生の大御所のひとりがナンパ塾をしていたという。
このような塾ビジネス界隈は、「転売」に特化せずとも人に教えられる物事を何でも収益化しようという心意気らしい。イエスマンの角刈りクンは、とりあえずナンパ塾に入塾を決めた。

一緒に頑張れる仲間がいるから

彼の一番の楽しみは、ナンパ塾塾生と最低週に一回飲むこと。飲み会では、ナンパの戦績報告はもちろん、ナンパ塾と親和性の高い転売塾や副業の話もされる。様々な年齢で職業もバラバラのメンバーが集まっており、意識高い系異業種交流会に入っているようなものだ。そして、塾生たちは口を揃えて「入塾して人生が変わった」という。ナンパも、転売も、やることや論理はシンプルなのに、わざわざ安くないお金を払って参加するのは仲間がいると頑張れるから。
例えば、転売は非常に地道な作業だ。商品を仕入れ、綺麗に写真を撮影し、投稿し、梱包し、送る。転売で儲けるコツは、「何よりも量と時間をかけること」だと角刈りクンも語っている。日々の生活の中で地道な作業を一人で続けていくのは凡人には難しい事だが、塾内にはそれができている成功者=性交者がたくさんいるから頑張れる。

「ナンパ塾」で学べること

さて、ナンパ塾で学べることは実用性がとても高いものばかりだ。近年の婚活塾にも見受けられる、どこまで近づいたら人は不快感を感じるのか検証する「パーソナルスペースを知る授業」。愛撫の実技講習では、「師匠」が「パートナー」の女性を連れてきて、その女性をモデルに「耳の攻め方」や「フェザータッチの方法」を教えてくれるらしい。教わった後、塾生は実際にその「パートナー」に一人ずつ実技を披露するが、その待ち時間では師匠に「待ってる間にやっとけ」と言われ、男性同士で耳責めやフェザータッチを施すのだそう。「師匠」や「パートナー」という存在も、実に闇深だ。

本当は即なんてしたくない!

どんな質問にも真摯に答えてくれる角刈りクン。ナンパなど本当にしているのだろうか? と疑問に感じたが、なんとちょうど昨晩「即」れたのだそう。それじゃあハッピーか、と浮かれているはずの彼に尋ねたが、彼は苦虫を潰したような顔で「いや僕は本当は即なんてしたくないんですよ!」と言った。即った後にダウナーになってしまう角刈りクンは塾内の定番ネタらしかった。彼が昨晩ヤレたのは銀座コリドー街での声掛けで、彼曰く「周りからあんまりナンパされてない、誰でもヤレそうな人」だったらしい。
角刈りクン曰く、「もう誰でもいいやと思って声を掛けていたが、いざヤッていると行為の途中にむなしくなってしまう」「本当は、その日に会って即ヤッて終わりという関係は向いてない」。

では、なぜナンパ塾に通うの? その最終目標は? と聞いたところ「モテたいから」という、原点回帰するシンプルな回答が返ってきた。
「本当は気がピッタリ合う可愛くて波長の合う彼女を見つけて、子供を作って幸せな結婚生活が送りたい」
しかし、女性として生きている自分からすると、女性は「ナンパについて行ったら終わり」と考える節があるように感じる。根が真面目な人と波長の合うようなマトモな子や、学のある子なら尚更だ。男女で受ける感覚の違いが大きいナンパの先に、果たして良縁は有るのだろうか。自分の感情やキャラを素直に出し、あぁーもうダメだぁ! と投げやりになりがちな可愛い彼の行方を応援したい。

三尾やよい

悪趣味が高じてフリーライター。エロ・グロ・ゲテモノ。アダルト系WEBコラム連載/ニュースメディア翻訳ライター。毎日がFernweh(;-;) 将来の夢はベルリンで引きこもって夜な夜なテクノ鑑賞。