天神の裏門で売る通和散

去年の『和食』に続き、『和紙』(手漉き和紙技術)がユネスコの無形文化遺産に登録されることになった。
このニュースがきっかけとなり、思い出したことがある。江戸時代にはすでに、エッチ用のローションがあったということを。あわてて忘却の彼方から、記憶を呼び戻した。

和紙の原料はコウゾやミツマタなんだけれど、もうひとつなくてはならないものがある。それがトロロアオイ(黄蜀葵)という植物なのだ。根っ子をトントントンとたたいて搾るとにじみ出てくる白いネバネバ(以下、この液体もトロロアオイと呼ぶ)。このオネバがコウゾやミツマタを接着したりする触媒的な役割を果たしている。
根っ子は粘着性があるゆえ、とくにアヌス用ローションの原料にもなり、江戸時代では『通和散』という商品名で売られていた。江戸時代の百科事典『守貞漫稿』には、「男色または水揚の際唾液にて用う」とある。粉末だから、ツバキきでのばし、オネバにしてからアヌスや膣口に塗ってやると、男根がスムーズに挿入でき、一方したんです挿入されるほうも痛さを感じない。
湯島天神下の『伊勢七』で販売しているものが極上とされた。天神下って、陰間が多くたむろしていたためだ。陰間の語源は、はっきりしないが、アヌスをウリに商売にしていた集団だ。色子、蔭子、飛子、舞台子という呼び名もあった。

後家へ出す陰間は一本使いなり

サカリは8歳からせいぜい18歳までで、年をとってくると女性にも奉仕したという。30歳を越した陰間になると、ウシロがゆるくなっているため、マエを使って女性客を相手にしていたらしい。
話を『和紙』に軌道修正。石州半紙(島根県)や本美濃紙(岐阜県美濃市)のことはよく知らないが、細川紙(埼玉県小川町&東秩父村)界隈では、このハイビスカスの仲間のトロロアオイが盛んに栽培されている。たしか小川町だったと思う。そこからトロロアオイを購入してみた。1日水でさらしたものを小槌で叩いてみた。するとトロロアオイのドロ~ンとしたオネバがどんどん出てくる。たたきながら、江戸時代の性文化のこだわりと深さを思った。