近年、凄まじい勢いで進化を続けているアダルトグッズといえば皆さんは何を思い浮かべますか? オナホール? 女性用バイブ? 否。正直言って”グッズ”という言葉では形容できない存在になりつつあると思われますが……それは「ラブドール」ではないかと思うのです。

ラブドールとは、その名の通り愛玩人形のこと。ただし、この愛玩という言葉には性的な意味も含まれます。所有者は、ラブドールを本物の恋人のように可愛がり、慈しみ、そして抱きしめる。正直な話をしてしまえば、一見一聞ではその感覚を理解できないと言う方が殆どだと思います。しかし、私が本作を読ませてもらって感じたことはただ一つ。著者たちのラブドールに対する深い愛。本作はラブドールの世界の奥深さを世に知らしめるための素晴らしいガイドブックになっていると私は思います。

まず読み始めの時点から心をギュっと掴まれる一文がありました。「私は二次元女性が好き過ぎたので、その可愛らしさや存在感に惹かれて等身大ドールをお迎えした」なんと真っすぐな言葉でしょうか。これだけで、著者への信頼度が高まるとても素敵な文章だと思いました。そして、その後に展開されているラブドールと生活をする上での様々な指南。ここで驚くべきは、その遊び方の殆どが「エロに直結していない」という事実です。頭を撫でたり、可愛い服にお着換えをさせたり、一緒にお散歩したり、被写体として撮影をしたり……。ラブドール=セックスできるドールというのは、非常に安易で浅はかで時代遅れな考えなのだと実感しました。

本作ではラブドールの進化についても非常にわかりやすく語られています。その歴史を紐解き、ブームの流れまで説明されたラブドールの歴史に関するセンテンスは、史料としても価値が高いのではないでしょうか。また、トルソー型のオナホやエアピローもラブドールの亜種としてとりあげられていることも興味深いです。それらがラブドールの世界の間口を広げる役割を担っているであろうことが理解できます。

そして何と言っても気になるのが、今後ラブドールは人間に成り代わり得るのでは? という点。本作の中でも拡がり続けるAIの可能性についてが語られていますが、現状は男の理想を具現化するような作動は難しいようです。とはいえ、遠い未来には必ず頭をもたげてくるであろう人工知能のさまざまな問題。ラブドールの向かう未来が、どうか明るいものであることを願います。
(文=もちづき千代子)

人造彼女との新しい生活
出版社:SANWA MOOK
参考価格:1,700円