【A-Lady】性の既成概念を壊す作品を生む芸術家

一般社会よりAV現場の方がジェンダーに関して、フリーで柔軟だと思います!

ジェンダーや女性の生き方を主題とする作品を発表しながら、AV好きが高じて、現場にも携わるようになった芸術家。それって矛盾している……? 否!
どちらの活動も、幼少期から抱えてきた社会への反発心に根ざしたものでした。芸術家、AV現場のスタッフ性を考える才女の素顔とは?

――多彩な多彩な活動をされている山田さんですが、AV業界に携わるようになったきっかけは?

山田はるか(以下、山田):映画『セックスの向こう側』の高原秀和監督や、アタッカーズなどのメーカーで活躍されている犬神涼監督と親交があって、「ヘアメイクやらない?」「エキストラで来てよ」と声をかけていただきました。現在は、メジャー系からフェチ系まで、いろんな現場に参加しています。子どものころから、夜の世界や性産業に興味があって、よく親がお風呂に入ったのを見計らって「トゥナイト2」を観ていました(笑)。だからいま、こうしてAVのお仕事をできるのはうれしいことです。

――女性エキストラは貴重ですね。

山田:AVプロダクションに所属していない、エロはなしだけど顔出しして出演できる女性は少ないので重宝されていて、しょっちゅう頼まれますね。犬神監督の作品は台本があり、長いセリフを与えられることも。現場で必死になって覚えます。

――韓国版Vシネでヘアメイクをされることもあるそうですね。

山田:日本のAVでは清楚さを強調したメイクが基本ですが、韓国の女優さんはアイメイクばっちり、唇は紅くて、巻き髪のゴージャスなテイストが好み。違いが面白いですね。

――アート活動では、男装などをテーマにした、ジェンダー的要素の強い作品が多いですね。

山田:私がアート活動をはじめた背景には、日本社会のジェンダー観への反発があります。小さいころから「女だからこうしなさい」といわれますよね。私、小学校で男の子に回し蹴りしたことがあるんですよ。そのとき先生は「暴力はいけないから、蹴ってはダメ」ではなく、「あなたは女の子だから、男の子を蹴ってはダメ」と私を叱りました。おかしいですよね。社会に出ると女性としての役割を押し付けられることがさらに増えます。生身の女性である私たちは、男性が固定観念をとおして見ているのとぜんぜん違うのに! というイラ立ちを常に抱えていました。一方で、私は女装する男性のヘアメイクをすることも多いのですが、彼らは自分の内にある『理想の女性像』を具現化したいという思いから、女性をデフォルメしたような女装をします。その強烈な欲望と行動力を目の当たりにして、その逆バージョンをやりたいと考えるようになり、「男想(だんそう)」という作品が生まれました。自分のなかで男性性、女性性を突き詰めて考えた末の、ひとつの結論のような作品です。

――そんな山田さんにとって、AVの現場は、どんなところでしょう?

山田:こうしたジェンダー観とAV業界での仕事は、矛盾していると思われるかもしれませんが、実際にはAVの現場のほうが、女性に対して幻想や固定観念を押し付けることなく、生身の人間として女優さんに接
している
し、その本質もちゃんと理解しているように見えます。女優さんも強くて、自分の主張をしますしね。男女間の対等な関係が、私には心地いいです。

【A-Lady】性の既成概念を壊す作品を生む芸術家
芸術家 山田はるか

女子美術大学短期大学部デザインコース専攻科修了後、現代美術家として数々の作品を発表しながら、AV撮影現場を中心にヘアメイク、エキストラとしても活動。
女装男性のメイクも手がける。2012年より、V系バンド「華妖.viju」のプロデュースを開始する。