アダルトグッズ業界を発展させる、日本アダルトグッズ小売店協会・JARA

かつてのアダルトグッズといえば、消費者にとってアンダーグラウンドかつニッチな存在だった。
しかし、昨今はテレビやノン・アダルトの雑誌などの多彩なメディアに取り上げられることも多くなり、当時のような暗いイメージは払拭されつつある。そして昨年7月、アダルトグッズの小売店有志たちが集い、「Japan Adult-goods Retailers Association(日本アダルトグッズ小売店協会)」を設立。通称「JARA」と呼ばれるこの団体は一体、どんなものなのか。JARAで代表理事を務める「大人のおもちゃ 通販大魔王」の橋本尚さんにお話を聞いてみた。

――いきなりですが、JARAってどんな目的で設立したんですか?

橋本尚さん(以下、橋本):昨今はアダルトグッズが一般にも認知されるようになり、昔に比べて市場も拡大してきました。それは喜ぶべきことなのですが、競合するショップも増えてきて小売店が疲弊しつつあるという現状も感じられます。このままの状況が続くことは小売店にとってマズイのではないかという危機意識がありました。それはエンドユーザーであるお客様にとっても好ましいことではありません。

――その現状をJARAというつながりで変えようとしているんですね。

橋本:お客様に選んでいただく価格努力やサービスの向上、店舗の特色という自助努力は基本的に個々で行うものであることは変わりません。しかし、JARAという団体ができることで、これまでバラバラだった小売店間の距離が近くなり、自助努力の土台みたいなものを作り出すことができるのではないかと。例えば、業界情報や法的知識の共有したり、自主規制の足並みをそろえるというような協会の統一見解を定めたり、協会内流通品を構築するなど、会員へのさまざまなサポートをJARAが担う事で、向上させたサービスをエンドユーザーであるお客様に注力してもらえたらと考えています。

――これまで各社でやっていたことをまとめることで、より業界への影響力も大きくなりそうです。

橋本:そうですね。小売業界の有志が集まることで、さらにアダルトグッズ業界を時代に即した健全な方向へ進めていき、これまで以上により良い製品をお客様に勧めることができるようになります。また、横のつながりを持つことによって、業界の情報収集や販売のヒントを得たり、モチベーションの向上なども図っていければと思います。JARAのさまざまな挑戦がアダルトグッズ業界を発展させていけるものと考えて、積極的に動いていきたいですね。

――JARAができてから、何か変化がありましたか?

橋本:まだ設立したばかりで、これからというのが正直なところでしょうか。現在は発足メンバーで協会の会則やルールを協議や策定をしている段階。会員募集を始めとする表立った活動がまだなされていないので、「何をやってるのかまだよくわからない」と思われているような気がします。

――手探りで意見を合わせていくのは大変そうですね。

橋本:先ほどお話ししたJARAの設立に際して抱いていた“想い”のようなものは、発足メンバーみんなが持っていたものでした。しかし、メンバー全員が業界で長く研鑽を続けておられる有名な店舗ということもあって、なかなか意見がまとまらず、ルールの策定にも時間がかかりましたね。

――侃々諤々という感じですね。

橋本:それまでの競合店同士が集うのですから、もちろん疑心暗鬼のようなものもあったと思いますし、意見を述べるにも相手の出方を考えたり(笑)。ですが、会合を重ねていくうちに徐々に打ち解けていき、自社の利益にこだわらない、いろんな意見や考えも出るようになってきています。店舗存続のためには個々の利益も大事ですが、業界全体の利益や発展もきちんと考えていきたいという姿勢ができてきたという実感がありますよ。これから会員有志がどんどんと増えていくことで、業界全体に必ず良い変化は出せると考えています。

――ユーザーとして気になるのは、JARAが主催する「アダルトグッズ・オブ・イヤー」です。すでに2015年の上半期と下半期の受賞も行われていますよね。

橋本:毎年たくさんのアダルトグッズが登場していて、それらは玉石混合なわけです。そこでJARAではメーカーさんが努力して作りあげた本当に良い製品をきちんとお客様に伝えていきたいという趣旨で「アダルトグッズ・オブ・イヤー」を開催することにしました。

――選考会議はやはり白熱しますか?

橋本:メンバーたちが自分の推薦するグッズを熱く語り、それをもとに議論していきます。共感するものもあったり、視点の違う新たな発見もあるため、個人的にはとても楽しい時間ですね。この楽しさや公正な評価をお客様にきちんと伝えていき、さらにメーカー側にも伝えることで、アダルトグッズ業界を盛り上げていけたらうれしいです。

――メーカーさんも努力が認められるとモチベーションにつながりますもんね。

橋本:先ほど、小売店が疲弊しているとお話しましたが、メーカーさんも同様に疲弊しているように思えるんです。メーカーやブランドが乱立していることで、商品力が低いとエンドユーザーであるお客様の選択肢から外れて淘汰されてしまう。たくさんの商品が出ることは決して悪いことではないのですが、商品のリリースを乱発する事によって商品サイクルも自ずと短くなり、メーカーは商品開発にコストをかけない安易な方向に走っている傾向も見られます。これはユーザーにとっても、小売店にとっても芳しくありません。そんな中で、きちんとコストをかけてすばらしい発想から生み出した商品を、アダルトグッズの知識が豊富でお客様の声を間近で聞ける小売店が公正に評価することの意味は大きい。その評価をお客様にうまく伝えていければ、さらによい商品が生まれると考えています。

――それでは最後にJARAの今後の展開について教えてください。

橋本:本当に発足したばかりで、これからいろいろな試みをスタートさせていかなければなりません。昔に比べて世の中に浸透しつつあるとはいえ、まだまだグレーな部分も多いのがアダルトグッズ業界です。私たちが動くことで、業界を少しずつでもクリアにしていくことができればと願っています。もちろん、「アダルトグッズ・オブ・イヤー」も毎年精力的に審査していき、いずれは授賞式のようなことが行えればと考えています。また、JARA会員への法的知識や商品知識を深める勉強会、業界情報等の発信も積極的に行いたいですし、JARAがプロデュースするグッズも展開していけたらと、やりたいことは盛りだくさんです。徐々にではありますが、JARAはこれまでの業界になかった活動をどんどん進めていくつもりです。エンドユーザーであるお客様はもちろん、いろいろな人たちに注目していただけたらうれしいです。

――JARAにはアダルトグッズを愛する人たちを笑顔にする活動を期待しています。本日はありがとうございました。
(角谷ダイ)

JARA

アダルトグッズの小売業界として統一した対応や見解が必要との観点及び、業界への寄与、発展、健全な普及、品質の向上を目的に協会を設立した社団法人。
JARAとは『Japan Adultgoods Retailers Association』の略。