アダルトグッズの総合ブランド「MODE-design(以下、モードデザイン)」を起ち上げて7年、代表のM氏(仮名)は、「当時と現在とでは、アダルトグッズを取り巻く状況が大きく変わりました」と振り返る。

代表・M氏(以下、M):当時のアダルトグッズは作るのも売るのも、ショップで棚に並べるのも、ほぼすべて男性だけで行っていました。スウェーデンの「LELO(レロ)」やドイツの「FUN FACTORY(ファン・ファクトリー)」といった海外製のハイクオリティ・バイブレーターもちらほら入ってきてはいましたが、多くの男性たちはその魅力を理解できなかったんです。それが徐々に広がっていったのは、女性の意識が変わったからではありますが、それに加えて「アダルトグッズの買い方が変わった」のも大きいでしょう。それまでネット通販でアダルトグッズを買っていたのはほんの一部の人にかぎられていましたが、Amazonがグッズを扱うようになって以来、様相は一変しました。個人的には、3年ほど前に「ネットで買う」と「実店舗で買う」が逆転したと感じています。それによって市場も影響を受け、作る側の私たちも考え方を変えなければならなくなりました。

ネットとアダルトグッズ・ユーザーの親和性が高まるほどに、M氏はますます「エンドユーザーの声を聞く」重要性を痛感するようになったという。

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M:15年ぐらいほど前に大手ネットショップが起ち上がりはじめて、そのころからエンドユーザーが2ちゃんねるなどに使用感などを書き込むようになりました。この種の口コミって、すごく大事。私はいまも頻繁にチェックしていますよ。どんなものが流行っているのかを把握すれば、それは商品作りに必ず活かせます。でも業界全体を見渡すと、そうやってユーザーの声を聞くという習慣が長らく定着しないままで、それにイラ立っている時期もありました。

意識的に市場の声に耳を傾けてきたM氏率いるモードデザインのグッズは、どのような特徴があるのだろうか。

M:私がイメージしているのは、「THE スタンダード」です。たとえばバイブでも、奇抜な形や意表をつく仕掛けでユーザーの気を惹くことは考えていません。派手さはないけど、これを選んでおけば間違いないよね、という鉄板商品を作るメーカーと思ってもらえれば本望です。だからターゲットも特に決めてはいなくて、初心者から上級者手前ぐらいまでの、幅広い層。上級者というのは、バイブのメーカーやその特色を知っていたり、パッケージのあおり文句に乗せられることなくいい商品を見極められたり、メンテナンスの仕方を知っていたり……というイメージなんですが、そうした女性は徐々に増えていますし、もっと増えてほしい。モードデザインの商品で、その後押しをできればと思っています。

いま最も売れている商品はどれですか? と尋ねると、M氏は「全部です!」と胸を張った。回転の早いアダルトグッズ業界、それはさすがに盛り過ぎでは……という筆者の胸の内を見透かしたように、M氏は笑う。

M:本当ですよ(笑)。アダルトグッズの回転が早いのは次々と新作が発売される分、廃盤にされているものも多いから。それでいうと、うちの商品はめったに廃盤にならないんです。これは、業界ではめずらしい例でしょうね。ほとんどの商品が、ロングセラー。それには秘密があるんです。

当たり前のことだが、商品を世に出すにあたって最もコストがかかるのは開発時。ゆえに、ひとつの商品を長く売りたいとは誰もが考えることである。それを実現している、モードデザインの秘密とは?

M:こまめに改良しています。発売後に微調整を加えて、ひそかにバージョン4.8ぐらいになっているものもあるんですよ。もちろん発売時点で完璧な状態にしておければ、それに越したことはないのですが、人の作るものだし、マシン部分にはどうしても予想できないエラーが出てきます。後になってそのエラーを出さない方法がわかれば、すぐにそれを反映します。市場の反応によって、調整を加えることもあります。新商品をじゃんじゃん出すのもいいけど、改良しながら長く売る、が私たちの基本姿勢です。

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マイナーチェンジしながら商品のクオリティを高めていく、という方針は、アダルトグッズ業界に蔓延する「コピー商品」の対策にもなっている、とM氏。アダルトグッズのコピー商品が出るスピードはとにかく早い。しかもオリジナル商品より低価格で販売される。これが、いまや国内外問わず横行している。

M:コピーが出るのはしょうがないと思っているところはあります。それも、その企業の努力といえないこともないので。でも本音をいえば、むちゃくちゃ悔しいですよ。どうにかして一矢報いたいと思うこともありますけど、そこにエネルギーを費やすのももったいないから、発想を変えることにしました。コピーした商品はいい部分も悪い部分も真似して作られているわけですから、うちはマイナーチェンジをして悪いところを直し、品質を向上させていこう、と。一見して区別がつかないにしても、それをわかってくれるショップさんも確実にいます。コピー商品ではなくうちのオリジナル商品を優先して、商品棚に並べてくれるのはありがたいことですね。

M氏の言葉からは一貫して、自社の商品に対する強い自信と深い愛情がうかがえる。氏にとって、バイブを作る喜びとは?

M:単純に楽しいんですよ。それを使って喜んでくれる人がいるというのが、何よりもうれしいです。アダルトグッズというと引いちゃう人もいるけど、そんな人の前にうちの商品をパッと出したとき、いままでのバイブのイメージと違うから「わー、何コレ!?」と興味をもって手を伸ばしてくれる……というのを目指して作っています。この世の半分は女性です。私は、女性の数だけ商機があると思っています。しかもそれが世界中に広がっている。長らく中国が大きな市場として注目されてきましたが、いまはインドが伸びています。宗教上の制約もなく性に対しては大らかなので、いま各国のメーカーもインド市場を最優先して考えています。こんなチャンス、逃す理由はないですよ!
(森友ピコ)

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MODE-design も~ど仙人

たしかな品質と安全性、オリジナルデザインにこだわった日本発のブランド。
シリコ素材を使った男性補助グッズやアナルプラグの「BOSS」シリーズ、表皮の概念を取り入れたディルド「リベロ」、スタイリッシュなデザインの「PS」シリーズなど、様々なジャンルの商品を開発しています。