すでにスタンダードなものは出尽くした感のあるアダルトグッズの世界。常にアイデアを求められているが、珍奇なものはユーザーの目を惹くには有効だが、それがヒットにつながるとはかぎらない。それは作り手の押し付けにすぎないことも、ままあるからだ。そんななか、「ユーザーが求めているのは何なのか」をひたすら追求しているメーカーが「SSI JAPAN」だ。

「もともとは1991年、アダルトグッズショップ『ワイルドワン』の創業からスタートし、現在同ショップは都内に8店舗・海外に3店舗を展開しています。近年は、350本のバイブを眺めながらお酒を愉しめる『バイブバー ワイルドワン』も好評をいただいておりますが、そのどちらにおいても私たちはお客さまの声を直接、耳にすることができるので、それを吸い上げ、商品開発に活かしています」

と話すのは、O氏。自身もまずはワイルドワンのショップ店員としてグッズを売る現場からキャリアをスタートさせ、現在はSSI JAPANで開発に携わっている。

開発担当・O氏(以下、O氏):私たちもアダルトグッズが好きでこの業界にいるわけですから、こんなグッズを作りたい、これを出したらおもしろいんじゃないかという作り手としての欲や希望があります。けど、ショップやバーを訪れてくれる、もともとグッズへの関心が高い男女のお客さまの声ほど参考になるものはありませんね。たとえば、大ヒットした「ピンクデンマ」シリーズがあります。”絶対イカせるデンマ”として第一弾を発売し(ピンクデンマ1)、お客さまの声を採り入れて現在では「ピンクデンマ3」まで進化させ、アイテム数も増やしています。

とりわけ好評なのが「ピンクデンマ2」。オレンジ、グリーン、ブルーといった、アダルトグッズではあまり使用されないカラーを含む5色展開もしている。

O氏:僕も以前は「女性向けのアダルトグッズといえば、ピンクか黒」という固定観念があったのですが、実際にショップやバーを訪れる女性客に話を聞くと、そうしたお決まりのカラーを求める女性というのは案外少なかったんですよ。そこでグリーン、ブルーなどのカラーリングに挑戦することにしたんです。

思い切りが功を奏し、ドン・キホーテなどの量販店でグッズを購入するライトユーザーには、こうした従来のアダルトグッズのセオリーから外れたカラーも人気だという。小ぶりで曲線的なルックスも相まって、これまで電マを「刺激が強そう」「怖い」と尻込みしていた女性も「かわいい」「気持ちよさそう」と気軽に手を伸ばすようになったというから、なんとも画期的だ。

O氏:かと思えば「ニップルドーム」のように、そもそもは女性向けに開発したけれど、フタを開けてみれば男性からも注文が殺到した、という商品もあります。

この乳首刺激グッズ誕生の裏にも、“お客さまの声”がある。バイブバーでユーザーから直接ヒアリングして、アタッチメントの形状を決定した。ポイントは、ドーム部分のカップが透明であること。ここに乳首が吸引されるため、乳首責めを視覚でも楽しめる。使う人、使われる人ともに興奮必至、というわけだ。

そんなグッズが男性にも人気とは? 男性がマスターベーションの際に自身の乳首を刺激するプレイは、俗に“チクニー”と呼ばれて定着している。同グッズは高さ調節機能があり胸の大きさに関わらず乳首にジャストフィットするため、男性でも使いやすい。内蔵したローターで得られる快感は、チクニー好きの男性たちに大いに支持された。

O氏:もともとニッチな需要を狙って発売したのですが、実はニッチじゃなかったということですね(笑)。吸引が強力で、男性の平らな胸にもしっかり吸い付くのが功を奏したようです。これは、うれしい誤算でした。

数々のヒット商品を世に送り出してきたSSIジャパンが今後数年に渡るキーワードとして注目するのは、「臨場感」だ。

O氏:いま、アダルトVRに熱い視線が注がれていますが、それにともないリアルな体感を味わえるグッズへの期待も高まっています。その一例が、大型オナホール。「リアルボディJULIA」は人気AV女優・JULIAさんの超絶ボディをそのまま再現したものですが、ファンの男性のみならず、高品質な大型ホールを探し求めている男性のニーズにもマッチしたようです。数年前だったらこんな大きくて重い、しかも高価格帯のホールを出すとなると大勝負をかけなければいけませんでした。でも、筒型と違って据え置きで使えるので、腰を動かしてホールの奥に当たるときの臨場感は格別! そのことに気づいた男性から支持をいただいていると見ています。一度体験すると普通のホールには戻れないという方もいるぐらいですから。

10月に「PlayStation VR」が発売されるなど、今秋、VRが世界的にも大きな盛り上がりを見せる。それを見越してSSI JAPANでは、アダルトVR作品とともに愉しんでもらえるよう、骨格の入った「リアルボディ」を体型別に3タイプ発売する予定だ(11月発売予定)。将来的には、大型オナホや電動オナホールと、VR映像とを連動させる仕組みも視野に入れている。

こうしたマーケットの動きに合わせたライブ感ある開発には、秘密があるとOさんは語る。

O氏:3Dプリンタを駆使しています。お客さまから「こんなグッズが欲しい」という声を聞いたら、まずはそれを3D CADに起こして、そのまま形にするんです

ユーザーとコミュニケーションを取りながら商品を作り上げる、SSI JAPAN実際に作られている3Dプリンタで制作した模型

O氏:電マやバイブなら、操作ボタンなどの細かい部分まで作りこみます。開発会議のときに立体物を手に取りながら意見を出し合うと話が早いし、自分たちで細部までこだわって決め込めるので商品のクオリティが上がります。最終決定したらその3Dデータを工場に送れば設計したものを正確に生産することができます。リクエストを頂戴したからにはご要望に沿ったものを正確に商品化したい、っていうメーカーとしての意地がありますからね!

お客さまは神さまです、とよくいわれる。しかし、SSI JAPANでは神として上段に置くのではなく、その声に耳を傾け、形にし、商品化した後もその反応によってさらにブラッシュアップさせていく。メーカーと客がコミュニケーションを取りながら、ひとつの商品を作り上げる……そんな理想的な協力関係にあるように見えた。
(取材・文=森友ピコ)

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SSI JAPAN(エスエスアイ・ジャパン)

”絶対にイカせる電マ”の「ピンクデンマ」、ゲームと連動するオナホール「サイクロンX10」、前立腺を刺激する「エネマブル」、実在の人物から型取りした大型オナホール「リアルボディ」など、お客様のニーズに応えたアダルトグッズの企画開発を行う。