質問力(ちくま文庫)

忘れたい……でも聞かれる回数が多すぎて忘れられない! 今回は都内ヘルス在籍・Jちゃんに聞く「風俗嬢への質問」についてのお話です。

「本名は?」…その質問、呆れられてます!

ヘルス在籍・Jちゃん(以下、Jちゃん):いまだに理解不能なのは「本名は何ていうの?」っていう質問。本気で意味が分からない。

――それ、同感。
Jちゃん:教えたくないから「秘密です」とか「源氏名で呼んでほしい」で濁すんだけど、「俺にだけ教えてよ!」とか言って食い下がってくる人もいる。

――そういう、しつこいお客さんへの対応はどうしてる?
Jちゃん:誕生日と同じように「ウソの本名」を決めてある。

――やっぱり。ほとんどの子は、そうだよね。
Jちゃん:いくら聞かれても本名は教えたくないし、教えたところで意味ないでしょ? って思う。あんまりしつこいお客さんには、会うのさえイヤになる。モチベーション下がるんで、そういう意味でもマジでやめてほしい。

「どこ住み?」は警戒心を煽るだけ

――ほかにイヤな質問はある?
Jちゃん:やっぱり「どこに住んでるの?」かな。この質問こそ、絶対に本当のことは答えないよね。どういうつもりで聞いてるの? って、神経疑うレベルだわ。

――来るの? って思うよね。怖い。
Jちゃん:ほとんどのお客さんは、興味本位とか軽い気持ちで聞いてるんだろうけど。それに比べると「どこ出身?」は、まだ良いかな。

――出身地は、嬢によって答え方が分かれるよね。
Jちゃん:都道府県ぐらいなら、言っても良いかもね。私は九州なんだけど、答えると「良いところだよね!」なんて盛り上がることもある。会話ネタとしては便利だったりもするよね。

「プライベートな質問が嫌がられる理由」って?

――聞かれて嬉しい質問なんて……ある?
Jちゃん:「嬢としての私」についての質問かな。いつ出勤してるの? とか、プレイの好みとか。私、風俗嬢になったのはお金のためだけど、色んな人の話を聞いてみたいっていう理由もあって。だからそのお客さんが好きなプレイのこととか、変態な話とかは、聞きたいほう。

――なるほど。
Jちゃん:休みの日は何してる? とか、彼氏いるの? とか……。お客さんの目の前にいない「本名の私」について聞かれても、困るんだよね。不在なんだもん、会話が盛り上がるわけない! 今ここにいる「嬢としての私」と会話をしてほしいっていうのは、たまに思う。

――ああ……お客さんにプライベートな質問をされて、なんだかモヤモヤした気持ちになるのは、そのせいかもしれないな。
Jちゃん:「嬢としての私」に興味持ってくれたのが分かると、評価されてる気になる。単純に嬉しいし、仕事のモチベーションも上がるかな。まあ実際にリピートしてくれないと稼げないし、この仕事してる意味ないんだけどね。

ともしび灯子
ともしび灯子

ゆとりコンプレックスを抱えている現役風俗嬢。
19歳のころ池袋で怪しいヘルス店員に拾われて以来、夜のお仕事遍歴を順調に重ねている。
趣味はOA小物集めと献血。
お客さんと女の子たちの一挙一動に、いつまでもビビりがちな青二才。