スライヴ ハンディマッサージャー MD01

アダルト業界歴13年。AVメーカー広報&AD、風俗情報サイト編集、アダルトグッズメーカー社員を渡り歩き、現在はライターを生業としているもちづき千代子が、これまでの仕事で体験したアダルトグッズにまつわる【事件】を大暴露!! さて、今回の事件の主役は……!?

File08.オプション用のアダルトグッズ事件

風俗情報サイトの編集をしていた頃のこと。取材相手は本物の人妻であることが多々ありました。夫の借金を返すため、欲求不満のため、老後の資金のため……さまざまな理由で風俗に足を踏み入れた、ごくごく普通の人妻さんたち。皆さんそれなりの葛藤はありつつも、プロとしてしっかり仕事はこなす自負はあると、きちんと真面目にインタビューに答えてくれていました。

そんな中で出会った人妻デリヘル嬢のY子さん。当時42歳(といっても、仕事上の年齢なので実年齢とは限りませんが)。サラリーマンの旦那さんと、高校生&中学生のお子さんがいる生粋の素人さんでした。子どもたちの学費を稼ぐためにデリヘルの仕事を始めて2ヶ月ほど。今まで水商売すら経験がなかったとあって、慣れない仕事に四苦八苦の毎日だと言っていました。

そんな彼女の悩みは、仕事で使うアダルトグッズを自宅でどこに隠すかでした。大抵のデリヘル店では、アダルトグッズでのプレイがオプションに設けられています。そこで使用するアダルトグッズは、共有のものではなく個人個人で用意するのが常。Y子さんも先輩たちに教えてもらって安価な通販サイトでローター、電マ、バイブを揃えたそうです。ところが、このお店の待機所はとても狭く、女性たちの私物を置いておくことは不可とされていました。ということは、毎日アダルトグッズは自宅まで持ち帰らなくてはならないわけです。

私は「仕事用のバッグの中に入れっぱなしにしておけばいいのでは?」とアドバイスしました。しかし、子どもたちがバッグの中を漁ったりしたら一巻の終わりとY子さんは言います。子どもたちが反抗期のため、勝手に財布からお金を抜き取ろうとする可能性があるとか。内心(それは叱れよ……)と思いながらも、確かに自宅でのアダルトグッズの隠し場所は難儀するよなぁとY子さんに多少の同情をしました。結局「次に会う時までにいい方法を考えておく」と言って、その日は取材を終えました。

そして1ヶ月ほど経ったある日。Y子さんの在籍するお店に再び取材で伺うことになりました。待機所にいたY子さんは、私の顔を見て嬉しそうに駆け寄り、「良い隠し場所が見つかったの!」と告げました。そいつは良かった、と場所を聞くと……。

なんと、そこは「洗濯かごの中」!!
大量の洗濯物の中に紛れさせているのだといいます。どう考えたって危ないだろ!! と突っ込んだ私にY子さんは微笑みながらこう言ったのです。

「だって、子どもたちは反抗期だし夫も家事なんて手伝わないし……。彼らにとっては、ただ洗い物を放り投げておくだけの場所だから、絶対に見つかりっこないのよ」

私はY子さんの笑顔を見て、なんだかとても切なくなりました。Y子さんは子どもの学費のために風俗で働いています。夫の稼ぎだけでは、2人を大学には行かせてあげられないから。毎日必死に男の人たちにサービスをして、家では主婦として掃除洗濯も料理もこなす……それがどれだけ大変なことか。彼女を少しでも手助けする気持ちがあれば、彼女が隠しているアダルトグッズはあっという間に見つかるでしょう。でも、絶対に見つからないと豪語している。それは、家族が誰も自分を助けてくれないことを、彼女自身が、一番よく判っているからなのです。

それから数か月経って、Y子さんは店を辞めたと聞きました。なんでも風俗で働いていることが家族にバレてしまったのだとか。Y子さんは旦那さんにもう二度と風俗で働かないことを約束して、離婚は免れたそうです。果たしてこの結末が良かったのか悪かったのかは誰にも分かりません。ただ、ほんの少しだけ……あの隠していたアダルトグッズを家族の誰かが見つけてくれたのが原因であれば、それはそれで救われたような気持ちがするのです。

もちづき千代子
もちづき千代子
Twitter:@kyan__tama

AVメーカー広報、風俗情報サイト編集、アダルトグッズメーカー社員を経てフリーに転身。
性産業への己の愛を凝縮した卑猥なテキストを綴り続ける、哀愁の豊満熟女ライターである。